テスト用の会社データとは、ソフトウェアの動作を確かめるために用意する、実在の企業に対応しない企業情報のまとまりです。会社名、業種、規模、法人形態、登記上の住所、そして登記機関が発行する番号や税に関する番号までをひと組にしたものを指します。この記事では、どんな項目をそろえるのか、なぜ本物の企業情報で代用してはいけないのか、そして安全に用意する手順を順番に確認します。
テスト用の会社データとは何を指すのか
企業の情報は、人の情報とは求められる項目の形が違います。個人のテストデータは氏名、生年月日、住所、連絡先でおおむね足りますが、法人の場合はそれに加えて法人としての属性が必要になります。どの業種か、従業員はどのくらいの規模か、どの法人形態をとっているか、登記上の本店はどこか、そして登記機関が発行した番号と税に関する番号は何か、という具合です。
これらは互いに無関係な項目の寄せ集めではありません。法人形態は社名の末尾に付く表示と結び付き、登記上の住所は国と地域の住所形式に従い、登録番号はその国の登記機関が定めた形式に従います。ひとつの記録として筋が通っていて初めて、画面や帳票の確認に使える資料になります。
なぜ実在する企業情報をテストに使ってはいけないのか?
理由は大きく三つあります。第一に、その情報を検証環境へ複製する権限がありません。取引先や自社の本物の社名と番号を、本番ほど厳しく守られていない環境に置けば、それを目にできる人の範囲は確実に広がります。第二に、テストデータは消えません。不具合の再現のために残され、共有され、社名と住所がそのまま報告資料に貼られることがあります。第三に、本物の値は事故を招きます。実在する番号で帳票を試し刷りすれば、その控えが本当の取引先へ届く可能性が残ります。
必要なのは形式が現実に沿っていることであって、実在の企業であることではありません。この線引きの考え方は架空の会社データを使ってよい範囲で詳しく扱っています。
どんな場面で会社データが必要になるのか?
開発と検証の現場では、思っている以上に多くの場面で「企業一件分の情報」が求められます。
- 法人向けの登録フォーム。個人か法人かで分岐し、法人を選ぶと追加の入力欄が現れます。
- 請求先の入力。社名、登録番号、VAT 番号、請求先住所をまとめて求められます。
- 管理画面の一覧と検索。長い社名や記号を含む社名で表示が崩れないかを確かめます。
- 演示。空欄だらけの画面ではなく、現実味のある画面を見せる必要があります。
- 自動テストの固定値。同じ入力から同じ結果が得られる状態を作ります。
いずれも本物である必要がない場面です。むしろ本物であっては困る場面だと言えます。
一件の会社データには何が含まれるのか
| 項目 | 内容 | 気を付ける点 |
|---|---|---|
| 会社名 | 法人の名称 | 末尾の表示を法人形態と一致させる |
| 法人形態 | 責任の範囲や機関設計の区分 | 国と地域に紐づけて保持する |
| 業種と規模 | 事業の種類と従業員数 | 社名との不自然な組み合わせを避ける |
| 登記上の住所 | 本店の所在地 | その国の住所形式と郵便番号の規則に従う |
| 登録番号 | 登記機関が発行する番号 | 形式のみか検証可能かを区別する |
| VAT 番号 | 付加価値税の登録番号 | 形式と在冊は別の問題として扱う |
| 連絡先 | 代表の電話番号など | 実在の番号を入力例に使わない |
このうち後ろの三つは、それらしく見えるかどうかだけでなく、検証の扱いが正しいかどうかが問われる項目です。番号の検証そのものについては税番号の検証で分かることで整理しています。
テスト用の会社データ生成ツールで用意する
当サイトのテスト用の会社データ生成ツールでは、国と地域を選ぶだけで、社名から法人形態、業種、規模、登記上の住所、番号までをひと揃い用意できます。項目どうしが同じ一つの企業として整合するように作られているため、社名は現地の言語なのに住所だけ別の国になっている、といった不自然さが生じません。
同じ ID キーを使えば、身元や住所の各ページと同じ記録として扱えます。生成される値はテスト専用であり、実在の企業と結び付くものではありません。まずは検証したい国を一つ選び、記録を一件作ってみてください。
開発者向け: 項目の設計と使い捨ての原則
企業の記録を一件の構造として扱うときは、まず依存の向きを決めます。住所は国と地域に依存し、登録番号は国に依存し、法人形態も国に依存します。この依存を先に決めておくと、国を差し替えたときに矛盾が出ません。
次に、同じ値が何度でも得られるようにします。自動テストでは、識別キーを固定して同じ記録を呼び出せる状態が要ります。逆に表示崩れを探す探索的な確認では、毎回少しずつ違う値を出したほうが多くの組み合わせに当たります。どちらが必要なのかを先に決めてください。
最後に、テスト用の記録には印を付けます。社名に例であることが分かる語を含め、住所も文書用に確保された例の値を使い、本番環境へ同じ記録が流れ込まないように経路を分けます。
次のステップ
まず、手元の検証環境に本物の社名や登録番号が残っていないかを確認してください。見つかった場合は、組み立てた値に置き換えます。次に、よく使う確認項目を三つほど選び、その入力例を固定の装置として書き出しておきます。
用意そのものを短く済ませたい場合はテスト用の会社データ生成ツールが近道です。企業の受け入れ確認まで踏み込みたいときはKYB のテストで確認すべき項目を参照してください。
ここで扱ってきたのは、あくまでソフトウェアの試験と画面の演示のための資料です。実在する法人を装う目的に使えるものではなく、そのような用途は想定していません。